Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「……好きなんかじゃないです」
「じゃあ、どうして泣いてんだよ」
「ちょっと驚いただけです! 悲しんでなんかないですから」
「あんた、強がって損するタイプだろ」
自分でも、素直じゃないってわかってる。強情な私に陣さんが呆れたみたいにため息をついた。
「……教えてやろうか。夕緋のこと」
突然彼はそう切り出して、思い出話をするみたいに、ゆっくりと語りだした。
御堂さん、陣さん、千里さんの三人は、親の事業の関係で、幼い頃からよく一緒にいたという。
とはいえ、千里さんが生まれたとき、御堂さんと陣さんはすでに十歳で、友達というよりは兄妹のような関係だったらしい。
御堂さんは千里さんをとても可愛がっており、千里さんもそんな彼を本当の兄のように慕っていたという。どんな場所へ行くにもべったりとくっついて離れなかったそうだ。
月日が流れるに連れ、千里さんの中で御堂さんが『兄』から『男性』へと変わっていったのは、ごく自然な流れ。
御堂さんにとっても、それは同じだったのではないか――『愛らしい妹』から『守りたい女性』へと変化した――それが陣さんの見解。
「相手が悪かったな。夕緋と千里のふたりには、ちょっとやそっとの仲じゃ及ばないくらいの長い歴史があるんだよ」
頬を一筋の涙が伝った。
自分でもわからない。どうしてこんなにも心揺さぶられているのか。
陣さんが、私の頭を引き寄せて、自分の肩に置いた。
抱きしめるみたいにそっと首筋に腕を回す。
「じゃあ、どうして泣いてんだよ」
「ちょっと驚いただけです! 悲しんでなんかないですから」
「あんた、強がって損するタイプだろ」
自分でも、素直じゃないってわかってる。強情な私に陣さんが呆れたみたいにため息をついた。
「……教えてやろうか。夕緋のこと」
突然彼はそう切り出して、思い出話をするみたいに、ゆっくりと語りだした。
御堂さん、陣さん、千里さんの三人は、親の事業の関係で、幼い頃からよく一緒にいたという。
とはいえ、千里さんが生まれたとき、御堂さんと陣さんはすでに十歳で、友達というよりは兄妹のような関係だったらしい。
御堂さんは千里さんをとても可愛がっており、千里さんもそんな彼を本当の兄のように慕っていたという。どんな場所へ行くにもべったりとくっついて離れなかったそうだ。
月日が流れるに連れ、千里さんの中で御堂さんが『兄』から『男性』へと変わっていったのは、ごく自然な流れ。
御堂さんにとっても、それは同じだったのではないか――『愛らしい妹』から『守りたい女性』へと変化した――それが陣さんの見解。
「相手が悪かったな。夕緋と千里のふたりには、ちょっとやそっとの仲じゃ及ばないくらいの長い歴史があるんだよ」
頬を一筋の涙が伝った。
自分でもわからない。どうしてこんなにも心揺さぶられているのか。
陣さんが、私の頭を引き寄せて、自分の肩に置いた。
抱きしめるみたいにそっと首筋に腕を回す。