Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「……どうしちゃったんですか?」
「久々に会えたから、嬉しくなっちゃって」
満面の笑みでそう答えると、私を自分のデスクの横に座らせ、手土産に持ってきたお菓子を一緒に食べようと言い出した。
右手が使えない御堂さんのために、食べやすいスティック状の焼き菓子を買ってきたのだが――
「袋が開けられないんだ」
確かに、それは盲点だった。仕方なく個包装を開けて彼の手元に差し出すと――
「『あーん』してほしいなぁ♪」
結局は手が使える使えないに関係なく、甘えたいだけらしい。
「御堂さん、こんな情けない姿、部下に見られていいんですか?」
さっきから、私たちを見ないように必死に目を逸らす黒木さんが気になって仕方がない。
この微妙な状況に触れてはいけないと気を遣ってくれているんだろう。
そんな彼に御堂さんは威圧的な笑みを送った。
「黒木くん、俺を情けないと思うかい?」
「え? あ、いえ、そ、そんなことはっ!」
「そんなことはないそうだよ」
「黒木さん、引き攣ってますけど」
見かねた村田さんが少し遠くの席から声を上げた。
「すみませんね。うちの社長、こんなんですが、仕事だけはちゃんとやらせますから、見捨てないでやってください」
全然申し訳なさそうに朗らかに笑った。
なんやかんや言われながら、御堂さんはやっと仕事を始める気になったのか、身体をデスクに向けてくれた。
左手でキーボードのショートカットキーを駆使しながら、包帯グルグル巻きの右手でマウスを叩き付けるようにクリックして、グラフィックデザインのソフトを器用に操る。
「久々に会えたから、嬉しくなっちゃって」
満面の笑みでそう答えると、私を自分のデスクの横に座らせ、手土産に持ってきたお菓子を一緒に食べようと言い出した。
右手が使えない御堂さんのために、食べやすいスティック状の焼き菓子を買ってきたのだが――
「袋が開けられないんだ」
確かに、それは盲点だった。仕方なく個包装を開けて彼の手元に差し出すと――
「『あーん』してほしいなぁ♪」
結局は手が使える使えないに関係なく、甘えたいだけらしい。
「御堂さん、こんな情けない姿、部下に見られていいんですか?」
さっきから、私たちを見ないように必死に目を逸らす黒木さんが気になって仕方がない。
この微妙な状況に触れてはいけないと気を遣ってくれているんだろう。
そんな彼に御堂さんは威圧的な笑みを送った。
「黒木くん、俺を情けないと思うかい?」
「え? あ、いえ、そ、そんなことはっ!」
「そんなことはないそうだよ」
「黒木さん、引き攣ってますけど」
見かねた村田さんが少し遠くの席から声を上げた。
「すみませんね。うちの社長、こんなんですが、仕事だけはちゃんとやらせますから、見捨てないでやってください」
全然申し訳なさそうに朗らかに笑った。
なんやかんや言われながら、御堂さんはやっと仕事を始める気になったのか、身体をデスクに向けてくれた。
左手でキーボードのショートカットキーを駆使しながら、包帯グルグル巻きの右手でマウスを叩き付けるようにクリックして、グラフィックデザインのソフトを器用に操る。