Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
デザイナーの仕事を間近で見られる貴重なチャンスに、私は食い入るようにしてディスプレイを見つめた。
デザイン系の大学に通っていた私は、御堂さんが今使っているこのソフトには馴染み深く、久しぶりに再会した友人のような懐かしさを覚える。
五年前、卒業制作で散々使ったっけ……
ついつい緩んでしまう頬を誰にもバレないように引き締める。
今御堂さんが作っているのは、うちの会社で新しく売り出すステーショナリーのデザイン案だ。
ペンホルダーやテープカッター、ドリンクホルダーなど『無くてもいいのについつい買ってしまう』をコンセプトに掲げ、デザイン性に富んだ商品を計画しているらしい。
「木製のマウスですか? 格好いいですね」
「男の子的にはね。女の子向けはこっち」
「ファー素材ですか!? 斬新! こっちはなんですか?」
私がウィンドウ上部に並んでいるタブを指差すと、御堂さんがそのタブをクリックし、画面を切り替えてくれた。
「こっちは、色鮮やかですね。綺麗」
「ねぇ、華穂ちゃん」
「はい?」
「このソフト、使ったことあるの?」
「えっ?」
突然飛び出した質問に、思わず背筋が凍りついた。
調子に乗って画面を指差していたから、使い方を知っていると思われてしまったのだろうか……。いや、まさにその通りなのだけれど。
「い、いえ。なんでですか?」
「いや。なんとなく」
とくに御堂さんは深く問い詰めることもなく、この話はこれっきりで終わったので、ホッと肩をなで下ろした。
デザイン系の大学に通っていた私は、御堂さんが今使っているこのソフトには馴染み深く、久しぶりに再会した友人のような懐かしさを覚える。
五年前、卒業制作で散々使ったっけ……
ついつい緩んでしまう頬を誰にもバレないように引き締める。
今御堂さんが作っているのは、うちの会社で新しく売り出すステーショナリーのデザイン案だ。
ペンホルダーやテープカッター、ドリンクホルダーなど『無くてもいいのについつい買ってしまう』をコンセプトに掲げ、デザイン性に富んだ商品を計画しているらしい。
「木製のマウスですか? 格好いいですね」
「男の子的にはね。女の子向けはこっち」
「ファー素材ですか!? 斬新! こっちはなんですか?」
私がウィンドウ上部に並んでいるタブを指差すと、御堂さんがそのタブをクリックし、画面を切り替えてくれた。
「こっちは、色鮮やかですね。綺麗」
「ねぇ、華穂ちゃん」
「はい?」
「このソフト、使ったことあるの?」
「えっ?」
突然飛び出した質問に、思わず背筋が凍りついた。
調子に乗って画面を指差していたから、使い方を知っていると思われてしまったのだろうか……。いや、まさにその通りなのだけれど。
「い、いえ。なんでですか?」
「いや。なんとなく」
とくに御堂さんは深く問い詰めることもなく、この話はこれっきりで終わったので、ホッと肩をなで下ろした。