さくらが散る日には

(ヘタにここを動いてもまた迷うかもしれないし、一応建物もあるし…)

よし、人が来るのを待とう。


そう決めたのはいいものの、暇で仕方ない…

携帯は使い物にならないし…




なんとなく目を閉じてみると、さっきの大きな桜の下での彼の顔が鮮明に浮かんできた。



「なんで私、泣きたくなったんだろう?」



………………



「あ~!やめよやめよ!知らない人のことなんて考え込んでも仕方ないし、多分もう会うこともないだろうし!」


さっきから消えない心のモヤモヤを掻き消すようにわざと大声で独り言を言ってみる。




すると、私の独り言に応えるかのようにピアノの音色が聞こえてきた。



ん…?後ろから聞こえる…?









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