ナミダ列車
なにが"ずっと見てる"、だ。
よくよく考えたらとても気持ち悪いことじゃない。それを怖がらないで…なんて、説得性ゼロなんだよ。
あーあ、せっかくのんびりくつろげる旅ができると思ったのに。
閃きに近かった。そうだ、日光に行こう。確かに思ってた。
中身のない、ただぼんやりとするだけの日々から抜け出して、新しい何かに遭遇したいって。
旅をするきっかけってそんなもんだと思う。
ちょっと違う気分が味わいたいと思って電車に乗ったけれども、まさかこんな変な人に出会うとは思いもいなかったのだ。
ハルナ、さん。
やっぱり知らない名前だった。
女だか男だか分からない中性的な名前は、何処と無くミステリアスな彼にあっているとは思うけれども…。いや、そうじゃない。
こんな人、別にまともに相手にしなくてもいいんだから。