ナミダ列車
老婦人と、そのお孫さんだろう女の子に会釈をしてまた向き直ると、ハルナさんは頬杖をついたまま私のことを見下ろしてきている。
「終点まで」
「え?」
誇張することもなく、彼からはおちゃらけた雰囲気など感じられなかった。
「この電車が東武日光駅に着くまで。宇宙人か、未来人か、はたまたただのストーカーか。それまでのあいだに、俺が一体なんなのか、見破ってみてよ」
カチャリ、眼鏡を正すハルナさんはそれだけ言って窓の外を眺めてしまう。
────正体?
含みをもたせた発言に胸がざわついた。
誰?ハルナさんは……一体誰なんだ。