ナミダ列車
あからさまに怪訝な顔をする私に、オニーサンは満更でもなく口角を上げる。
「まあまあ、そんなカリカリするなよ」
「するでしょ……って、あっ!何勝手に私のイチゴオレ飲んでるんですか!」
「あー潤った。ちょうど喉渇いてたんだ」
「本当に信じられない!馴れ馴れしいにもほどがあります」
そしてあろうことかヒョイッと紙パックを取り上げられると、何の躊躇もなくストローを咥えるオニーサンにビックリ仰天した。
「ごちそーさん」
「ごちそーさん、じゃなくて!何なんですかあなた!」
「ハルナです」
「はあ?」
「俺、ハルナ」
「ハルナ…?名前なんて聞いてません!」
ガタンゴトン…。
オニーサンは窓枠にあるテーブルの上に紙パックを置くと、聞いてもない名前を勝手に名乗ってくる。
……だから、知らないって!