さよならの1番遠いところ
コンコンッ
返事も聞かず入って来たのは施設長
「美夜はよくこんな汚い部屋にいて平気だね」
部屋に入るなり小言ですか…
私は自分の手の届く範囲にものがないと嫌なだけで、決して片付けられない訳ではない。
でも、何度そう説明しても周りの人からすれば片付けしない言い訳にしか聞こえないらしい。
『で、その後ろの人はだれ?』
「無視かよ。ま、いいけど、今日からルームメイトになる渡井 亜貴君だよ。仲良くしてやって」
「よろしく」
ルームメイトなんてありえない。
そんな贅沢なこと言えるわけもないけど、反抗として思いっきり嫌な顔をする。
『なんで、男と女が相部屋?』
「空いてる部屋がここしかなかったから」
適当かよ。
まあ、何を言っても無駄なわけですけど…。
今思えば亜貴とルームメイトになったのは施設側の戦略だったのかもしれないね。