桜色の涙
「私は篠原星那(しのはらせな)」
星那、ちゃん……。綺麗で、彼女にピッタリだと思った。
「俺、広瀬迅。よろしくね」
彼女に─────星那ちゃんに向かって手を差し出すと俺の手と重なる。
自分からしたことなのにドキッとするなんてどうしたんだろう。こんなの今までの俺じゃない。
「うん、よろしくね」
フワリと笑う顔に釘づけになった。こうして近くで見ると思っていたよりも可愛い。
離れていく手のひらを寂しいと感じたのはどうしてかな。彼女の言動に心が揺さぶられるのはどうしてかな。
「そういえば、同じクラスなんだね。私達」
そっか。教室に入ろうとしてぶつかったんだから同じクラスに決まっている。
「そうだね」
どうしてかな。恥ずかしくて顔が見れないよ。
……もしかして意識しているのかな。この短時間で好きになってしまったのかな。
その考えが頭に浮かぶと、次から次へと彼女の言動がよみがえる。