桜色の涙

そのままふたりの会話を自分の席で見守っていると。


「あっ、星那ちゃん!」


「相変わらず可愛いなー」


そんな声に囲まれながら教室のドアから星那ちゃんが顔を出した。うん、今日も可愛い。



「迅くん、みんな。おはよう」


あれ、そういえば今日は橋本さんと一緒に来ていないんだな。


って今、俺の名前を1番最初に……!たったそれだけのことで胸が踊る。


ニコリと微笑む彼女は晴れ晴れとした顔をしている。



「星那!もう、どうして教えてくれなかったの?広瀬くんと付き合っているって」


大股で彼女の前に現れた橋本さんの言葉にクラスが静まり返った。



そして次の瞬間。


「えーっ!?」


「星那ちゃんと広瀬くん、そういう関係だったの?」


騒がしい声と好奇の目に包まれた。うぅ、やっぱりそうなるよね……。
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