桜色の涙

「美紀、どうして言っちゃうの……!」


照れたように、でも少し呆れたように彼女は橋本さんをジトッと見る。


もしかして睨んでいるつもりなのかな?そうだとしたら、すごく可愛いんだけど。



「ご、ごっめーん!口が滑ったっていうか、あはは……」


「ごめんなさい」とガックリうなだれたように謝る橋本さん。


知られるのが嫌なわけじゃないけど、星那ちゃんはどう思うのかな、って心配なんだ。


江崎くんと別れたばかりなのにまた違う人と付き合うなんて。



それに。


「……俺なんかが星那ちゃんの隣にいていいのかな」


ポツリと漏れてしまった本音。



彼女は誰もが認めるくらい可愛いし人気者。


それに比べて俺は平凡なただの男子。いいところなんて全く思いつかない。


こんな俺が隣にいていいのかな、ってたまに不安になるんだ。
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