桜色の涙
「迅くん……」
「え?」
もしかして今の本音を聞かれた……?目の前にいる彼女は不安げな顔をしている。
どうしよう。せっかく俺と付き合ってくれているのに。
彼女の前で弱音なんて吐いたらいけないのに、不覚にも聞かれてしまうなんて。
「ちょっといいかな?」
「あ、ちょっ……」
少し強引に手を引かれ、クラス中の視線を浴びながら教室の外へ出た。
何を考えているんだろう。もしかして別れ話……?
そんな、まだ付き合ったばかりなのに。俺はこんなにも星那ちゃんのことが好きなのに。
「ここなら大丈夫かな」
そう言って連れてこられたのは人気のない廊下の隅。
人に聞かれたくないような話……それってやっぱり……。