桜色の涙
「あの、さ……」
口を開いたのは俺。いつもは自然にできていた会話も今は続かない。
「その、今朝はごめんね」
そう謝ると彼女は首を傾げる。
「どうして謝るの?」
「いきなり変なこと言ったし、桜が好きなんて変だよね」
それくらい自分でもわかっている。変なのは自覚しているし『似合わない』ってバカにされたこともある。それでも嫌いになれなかった。
「……そうかな?」
「え?」
桜が好きだから女子みたいだとか変だとか、そう言われることもあったのに。
「私も桜は好きだよ。なんだか応援したくなるよね」
「応援?」
桜を応援なんて考えたこともない。でもすごく面白い。