桜色の涙

「でも、星那も広瀬くんも大変よね。実行委員になるなんて」


……そう、そこが1番の難点なんだよね。なんと俺と星那ちゃんは球技大会の実行委員になってしまったんだ。




帰りのホームルームで先生から球技大会の話があり、委員を決めることになった。


それはクラスから男女ひとりずつ選ばなければならないらしくて、先生は部活に入っていない生徒に向かって順番に聞いていたんだ。


もちろん星那ちゃんも聞かれてしまった。


他の人達は『バイト』『家の手伝い』『塾』とか、理由をつけて断っていたのに。



『え、えっと……用事は、ない、です……』


彼女は優しいから先生の頼みを断りきれなかったんだ。


そこは適当な理由をつけて断れば良かったのに、って思ったけど、素直なところは彼女のいいところ。


相変わらず可愛いな、と思いながらクスッと微笑んでいると。
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