桜色の涙
彼氏の存在
「はぁ……」
高校生活が始まって1週間。本当なら楽しんでいるはずなのに俺の心はブルーな気分。
「どうしたんだよ、迅」
「なんでもないよ」
つまらなさそうに俺を見つめるのは高校初の友達である園田渚(そのだなぎさ)。
入学式の日、教室の隅で過ごしていた渚に声をかけたんだ。『隣にいていい?』って。
迷惑な顔をしたけど、勝手にしろとでも言いたげにそっぽを向いた。
初めは俺が一方的に話しかけるだけだったけど、今では渚からも話しかけてくれるようになった。
渚は俺以外の人とあまり話さないけど、クールでかっこいいと女子から人気がある。
無口なところがまたいいんだとか。それでも渚は無関心みたいだけど。