桜色の涙
嘘……今の幻聴?星那ちゃんの口から「かっこいい」って言葉が聞こえた気がしたんだけど。
心なしか頬が少し赤くなっているように見える。
「その、だから……元気だしてよっ……」
どうして星那ちゃんがそんなに震えた声で言うの?どうして自分のことのように悲しんでいるの?
星那ちゃんにとって、俺は……?
「あり、がとっ……」
江崎くんにだけは勝ちたかった。どうしても負けたくなかった。
そうじゃないと彼女を取られてしまうような気がして。彼女が俺から離れていってしまう気がして。
どうしようもなく不安だった。
「……そろそろ戻ろっか」
星那ちゃんが隣にいてくれるなら俺はどんな辛いことにだって負けない。その笑顔が隣にあるならいつだって強くなれる。
でも、後ろを向いた彼女からはその本心まで読み取れなかった。