桜色の涙
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「迅くんっ」
フワリと眩しい笑顔を見せて俺の方へ駆け寄る星那ちゃん。
そう、今日はデート当日。彼女の家の最寄り駅で待ち合わせをしてこれから街へ行くんだ。
「ごめんね、お待たせ」
「ううん、全然待っていないよ」
うわぁ、可愛い……。
ピンク色のダッフルコートに下は清楚な白のスカート。あたたかそうなムートンブーツを履いて、可愛らしいウサギがついたバッグを肩にかけている。
学校ではポニーテールにしている髪の毛も今日は下ろしているみたい。
本当にこんなに可愛い子が俺の彼女なんだろうか。
どうして俺なんかと付き合ってくれているんだろう……って、ダメだよ。
今日はネガティブなことは考えないって決めたんだ。ずっと楽しい気分で過ごすんだから。