桜色の涙
「迅くん、イルミネーションまで時間あるけどどこに行く?」
「うーん、そうだね。街でも歩こうかな?」
前まではこんなやりとりを交わすことになるなんて思ってもなかった。俺が星那ちゃんの隣を歩くなんて不釣り合いにも程がある。
こんなに可愛い彼女と平凡な俺。釣り合うわけがないのは一目瞭然なんだから。
「それなら行ってみたいところがあるんだ」
思いついたように彼女はそう言う。無邪気に笑う顔が眩しくて寒さなんて吹き飛んでしまう。
「そっか、じゃあ一緒に行こう」
嬉しそうに歩き出す彼女のあとを少し遅れてついていく。頬が緩まないように自然に振る舞う。
でもね、星那ちゃん。今日はこうしてはいられないんだ。