桜色の涙

「え……?」


星那ちゃんが驚いたのはきっと─────俺が手を握ったからだろう。こんなことをしたのは夏祭り以来だから緊張する。


でも、今日は自分からするって決めたからその手を離してもらうわけにはいかないんだ。



「こうしているとあったかいね」


てっきり手を振りほどかれると思っていたからその爆弾発言には驚いた。


『あったかいね』なんて可愛すぎだよ!


そんなことを言われたら、いつまでもこの手を握っていたいと思ってしまう。そんなの夢だとしてもおこがましいのに。



「……やっぱりこの方がいいかな」


ボソッと呟くと……あ、また顔が赤くなった。


本当にわかりやすいな。クルクルと変わる表情はいつ見ても飽きない。
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