桜色の涙
「うん、私も……」
照れくさそうに星那ちゃんはそう言った。握った手を少し離して恋人繋ぎをする。
また俺の心臓がドキドキと鳴り響く。会話があまりないからか、その音がいっそう大きく聞こえる。
「あの……」
「あのさ……」
会話を弾ませようと話題を振ろうとすると、彼女も同じことを考えていたみたいで言葉が重なった。
どちらからともなく笑いが漏れる。
「ふふっ、迅くんからいいよ」
「ううん、星那ちゃんから言ってよ」
そのやりとりを何回か繰り返す。こんなに自然に話せるなんて思わなくて少し驚いてしまう。