桜色の涙

「じゃあ買おっか」


「うん!」


嬉しそうに何回も頷く星那にまたクスッと笑みがこぼれる。よし、家に帰ったら絶対にペンケースにでもつけよう。


そんなに欲しかったんだ、このウサギ。よっぽど好きなんだな。



……それとも、俺とお揃いの物を変えて喜んでいるのかな、なんて今なら少し自惚れてしまう気がする。


そんなはずないのに期待してしまうよ。




◇◆◇



ストラップを買った後、外が暗くなってきたのを確認してイルミネーション会場に向かう。


近くまで来ると人がたくさんいて押し潰されそうになる。しかもその人達はカップルばかり。


俺達は他の人から見たらカップルに見えているんだろうか。釣り合っていないって思われて当然だろう。


俺がこのままじゃきっと星那は愛想を尽かしてしまう。いや、もう付き合ってもくれなくなる。
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