桜色の涙

来年も再来年も、ずっとずっと一緒に見られたらいいな。


でも、困らせたくはなかったから。そんなこと口に出すつもりはなかったのに。



「……また見たいな」


呟いてからしまったと思った。慌てて彼女を見るとなぜだか少し赤くなっていて。


「……来年も来ようね」


そう微笑んでくれた。



────あぁ、好きだな。大好きだ。心からそう思う。


たとえ来年は一緒に見られなくても。約束が守られなかったとしても。俺はこれからも星那だけを想うよ。



ふと空を見上げると。


「あ……」


「雪だ……」


星那も同じことをしていたのか声が重なる。暗い空からは珍しく雪が降り出していた。
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