桜色の涙
これは。
「ホワイトクリスマスだね」
彼女はフワリと優しく笑う。その笑顔を閉じ込めたいと願った。
「星那、好きだよ。大好き……っ」
情けないな、声が震えるなんて。今日くらいはかっこつけたかったのに。
バカだな、本当に。こんな公衆でキスしてしまうなんて。
「じ、んっ……」
唇から漏れた声が体をくすぐる。
幸い辺りは暗くて周りの人にも見られていないだろう。良かった。思い立ちで行動してしまったけど思い返すと少し恥ずかしい。
クリスマス。この日をこんなに素敵だと思ったことはなかった。一緒にいられるこの瞬間が本当に幸せだよ。
唇が離れると彼女の顔が近くにあった。
照れくさそうに顔を覆う手からは、赤く染まった顔がチラリと見える。