桜色の涙
「もう、見ないでよ……。恥ずかしいのに」
そんなに素直なこと言わないでよ。可愛すぎだって何回言ったらわかるの。
俺がそう口に出す前に体は前へ倒れていく。
「クリスマスだから特別ね」
また唇にあたたかい感触が触れる。思わず瞑ってしまった目を開けようとすると、冷たくて細い手が伸びてきて視界を覆った。
ねぇ、そんなことしたらダメだよ。俺、勘違いするから……。
「ぷはっ……」
「ふう……」
唇が離れたと同時に双方から息を吸う音が聞こえてきて、俺達はまた笑い合った。
思い返せば今日はずっと笑っていられた。それは俺だけじゃなくて星那も。
少しでも楽しいって思ってくれていたらいいんだけど。