桜色の涙
「あの、さ……」
ほんの少し気まずい空気が流れる中、沈黙を破ったのは俺だった。
「星那、目瞑ってて」
俺がそう言うと星那は不思議そうな顔をしながらも従う。
目を瞑っていても可愛いな。赤く染まった頬に、白い肌。長いまつ毛に、ふっくりとした唇。
その全てを俺のものにできたならどれだけいいだろう。
ポケットから買っておいた薄ピンク色のブレスレットを取り出す。それを冷えきった彼女の手首につけた。
「もういいよ」
俺の言葉でゆっくりと目を開く。ブレスレットを見た瞬間、その顔はパッと花が咲いたみたいに輝いた。
「可愛い!これ、ブレスレット?」
「うん、俺からのクリスマスプレゼント」
そう言うと彼女は本当に嬉しそうにブレスレットを眺める。
気に入ってもらえたかな。そうだと俺も嬉しいけど。