桜色の涙
そのときに隣から聞こえてきた願いごと。
『みんなでお出かけができますように』
その願いを俺は忘れないだろう。今は実現できなくても待っていればきっと大丈夫だと、俺はそう信じていたい。
俺の願いごとは欲張りだと思うけどふたつある。
ひとつは、杏と同じく『家族で出かけられますように』もうひとつは『星那とずっと一緒にいられますように』
高望みかもしれないけどどちらも失いたくない大切なもの。この気持ちがいつか届くといいな。そう思いながら手を叩いてお参りをした。
その後は……そうだ、おみくじを引いたんだ。杏が大吉を引いて喜んでいる姿を見て期待して引いてみた。
しかし結果は微妙。
『お兄ちゃん、吉だってー』
チラッと見られて大吉のおみくじを自慢されると、自分が情けなく感じた。
いいよ、別に吉でも。少しの嬉しいことも大切にできる気がするから。
そんなこんなで初詣を終え、短い冬休みは終わった。