桜色の涙

思えば、あと2ヶ月もしないうちに俺達も進級するんだ。先のことなんてあまり考えていなかったけどクラス替えだってある。


もしかしたら、仲良くなった星那や渚、橋本さんともクラスが離れてしまうかもしれない。そうなったら俺は……。


いや、まだ時間はあるんだからそんなことを考えたらダメだよね。残された時間を大切に過ごせるのなら、俺はそれで満足だよ。


◇◆◇



「……ど、どうしたの?」


俺は不審そうな顔で目の前の相手を見つめる。すると目の前の相手─────星那は、何かをポケットに隠した。


その手首には俺がクリスマスにあげたブレスレットが光る。



「べ、別に何もないよ……?」


俺は今星那と一緒に登校している途中なんだけど、今日はなんだか彼女の様子がおかしい。


家へ迎えに行ったときもソワソワしていたし、今だってコソコソと俺の顔を伺いながら隣を歩いている。


気になって問いつめてみたものの答えてくれない。一体何を隠しているんだろう。



「今日なんの日か覚えてない?」


疑問ばかりが頭を巡る中、彼女からの質問にますます混乱する。


「今日?2月14日だけど何かあった?」


悪気なんてなかった。ただこのときの俺は気づいていなかったんだ。
< 155 / 374 >

この作品をシェア

pagetop