桜色の涙

「星那、ちょっと行こうか」


「えっ?」


キョトンとした顔をする星那の腕を引っ張って教室を出る。橋本さんはなぜかニヤニヤしていた。


……って、あれ?さっき渚はチョコをもらったって言っていたよね。


つまりそれって、橋本さんがついに告白したってこと?



今気づいたけどそれってすごいことだよね。後でふたりから話を聞いてみよう。


そう他人の心配をしていたけど、今はそれどころじゃない。



「迅、あのね……」


騒がしさが落ち着いている廊下の隅。星那に呼び止められて動きを止める。


「バレンタインデーだからチョコ作ってきたんだ」


彼女がソワソワしていた理由にも気づかない俺がもらってもいいのかな。
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