桜色の涙

「目逸らさないで俺を見てよ」


そう言うと彼女は黙って俺の目を見つめる。その瞳に俺が吸い込まれそうになる。


綺麗で透明で他の誰よりも傷つきやすいその心を、俺は守ることができているんだろうか。



「俺のこと……好き?」


こんなことを聞いたのは初めてだけど、どうしても気持ちを確かめたかった。


少し期待していたんだ。


もしかしたら、今日こそ星那から「好き」が返ってくるかもしれない。両想いになれるかもしれないって。


ねぇ、目逸らさないでって言ったよね?それなのにどうして俺から目線を外したの?



「……好きじゃ、ないよ」


そのとき声が震えていたのに、どうして俺は気づかなかったんだろう。


これが星那の本心ではないことを。答えはずっと前から決まっていたということを。
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