桜色の涙

でも、女子からの呼び出しなんて星那への妬みしか思いつかない。そう思ってあとを追ってきた。


辿り着いたのは使われていない資料室。ここは……俺にとって苦い思い出のある場所。


星那と江崎くんが会っていたり、俺と江崎くんが男の話をしたり。因縁の場所と言っても過言ではないんだ。


ガチャリとドアが閉まる音がして星那達は中へ入っていった。あんな密室に連れていくなんてますます怪しい。



ドアの近くまで忍び足で進み、耳を当てると。


「俺より幸せそうな顔しやがってムカつく」


中から聞こえてきたのは女子の声……ではなく男子の声。


さっきの女子達は星那を連れていっただけで、本当に用があるのは男子ってこと?



でも、どうしてそんなに複雑なことをしたんだろう。


星那に言いたいことがあるなら自分で呼び出せばいいのに。
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