桜色の涙
「星那は俺のことが好きなんじゃねーのかよ」
「え……?」
そう声を漏らしたのは俺。
中にいる人に気づかれていないか不安になり口を覆ったけど、ドアの方へ向かってくる気配はない。おそらく気づかれていないだろう。
でも、この声は……間違いない。
この学校に「星那」って呼び捨てで呼ぶのは、俺と橋本さんと……江崎くんしかいない。
今この中にいるのは江崎くんだろう。
「お前ら、なんのために付き合ってんの?広瀬を振り回してそんなに楽しい?」
────ドクリ。
心臓が嫌な音を立てた。