桜色の涙
「……はぁ、なんなんだよ。もういい」
それだけ言い放って部屋から出ていった江崎くん。慌てて女子達も部屋から出ていく。
そう、俺達に気まずさと沈黙を残して。
「……迅、ありがとう」
ポツリと呟いた星那。その顔は今にも泣きそうで消えそうなくらいに儚い。
「迅が来てくれなかったら、私……っ」
「いいよ、言わなくていいから」
涙を堪えて言う姿が本当に愛しく思えて俺は星那を抱きしめる。
俺だって江崎くんに立ち向かうのは怖かった。でも1番怖かったのは間違いなく星那だよね。
もし俺が来なかったら本当にどうなっていたかわからない。
「ねぇ、迅」
体を離すと目が合って唇が重なる。こんなに好きだと思えたのも、守りたいと願ったのも、星那だけだよ。
星那との日々は俺の中でこんなにも輝いている。