桜色の涙

「俺じゃ、ダメかな……」


ずっとその笑顔を守りたくて。星那の幸せだけを願ってきた。それでも、一方的な気持ちだけじゃ恋は叶わない。



「……ごめんね、星那」


俺が役に立てないから。頼りないから。あの壁を壊せないから。星那を全部連れ去れないから。


もう、君がほしい。君ごと全て俺のところへ連れていきたい。その心が俺だけに向いてくれればいいのに。



「ごめんねなんて言わないで……」


か細い声でそう言う彼女は泣いていた。こうなってしまったのも全て俺のせい。


「迅は悪くないの。誰かのためを思ってしたことにごめんねなんて使わないでよ」


溢れる涙を止めようと拭いながら、俺に向かって必死に語りかけようとする。


その姿に心を打たれて気づいたら俺の頬も濡れていた。
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