桜色の涙

「そうじゃないと迅の努力が報われないから。だから笑ってありがとうって言ってよ」


振った相手にそんなことを言うなんてズルいよ。俺はいつだって星那がいてくれたらそれでいいのに。


最後まで笑って過ごしていたかった。この日々に終止符なんて打ちたくなかった。



でも。


「星那」


伝えなければ前なんて向けない。立ち上がらなければ歩くことなんてできない。


それなら俺はめいっぱい伝えよう。



「ありがとう」


星那と出会えたこと、付き合えたこと、一緒に過ごせたこと。その全てに感謝の気持ちを贈りたい。


ひとときの幸せな夢だった。本当に切ない現実だった。まだまだこの気持ちは伝えきれないよ。
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