桜色の涙

「好きだよ」


「うん」


「大好きだよ」


「うん……」


何がダメだったのかな。もっと俺が優れていれば別れずに済んだのかな。



「我慢しなくていいよ。無理して笑っているとわかるから」


溢れそうな涙を隠していると星那は頬を包んでそう言ってきた。


だから、そんなこと言ったらダメだよ。余計に諦めきれなくなる。



「いつまでも泣いていたって何も変わらないからね。我慢していたのを全部出して泣くより、かっこ悪くても星那の前では笑っていたい」


彼女との思い出は笑顔のままがいい。


照れくさかったり気まずかったり、いろいろな瞬間があったけど。涙で濡らしたくはない。


既に泣いている俺が言えることじゃないかもしれないけど、星那との思い出をこれからも好きでいたいから。
< 173 / 374 >

この作品をシェア

pagetop