桜色の涙
「好きだよ」
「うん」
「大好きだよ」
「うん……」
何がダメだったのかな。もっと俺が優れていれば別れずに済んだのかな。
「我慢しなくていいよ。無理して笑っているとわかるから」
溢れそうな涙を隠していると星那は頬を包んでそう言ってきた。
だから、そんなこと言ったらダメだよ。余計に諦めきれなくなる。
「いつまでも泣いていたって何も変わらないからね。我慢していたのを全部出して泣くより、かっこ悪くても星那の前では笑っていたい」
彼女との思い出は笑顔のままがいい。
照れくさかったり気まずかったり、いろいろな瞬間があったけど。涙で濡らしたくはない。
既に泣いている俺が言えることじゃないかもしれないけど、星那との思い出をこれからも好きでいたいから。