桜色の涙

そこで俺は終業式の日のできごとを話した。ひと言でまとめて『星那と別れた』と。


それで冒頭に至る。




「どうして別れたの?」


「俺じゃダメだったみたい。星那を好きにはさせられなかったんだよ」



『いつか絶対俺のことを好きにさせるから』


そう宣言したはずなのに俺は好きにさせることができなかった。つまり俺の負け。


何がダメだったんだろう。別れてからもずっと考えているけどその理由がわからない。


やっぱり俺じゃ力不足だったんだろうな。俺じゃ彼女を幸せにすることができなかったんだ。



「じゃあ星那から振ったってこと?」


「うん」


感情をあらわにして彼女は驚く。


俺だって星那に好きになってもらおうと努力していたし、諦める気はなかった。


それでも星那は、好きでもない人とこのまま付き合い続けるなんて耐えられなかったんだろう。
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