桜色の涙

「広瀬くんは」


その声を聞いてハッとした。顔を落とした彼女の声が震えていることに気づいたから。



「振られたからって星那のこと諦めるの?もう好きじゃないの?」


「好きだよ!だから……だからこんなに辛いんだよ……っ」


好きで好きで、どうしようもないくらいに好きで。伝え続けても繋がらなかった。


俺の心は宙ぶらりんのままさまよっている。それなのに時間だけは変わらずに進んでいく。



「……迅は、篠原のこと好きにならなければ良かったと思うか?」


今まで黙っていた渚がそっと俺に問いかける。俺の気持ちを知っているからこその質問なんだろう。


「そんなこと思うはずないよ」


「それならそれが答えだろ」


ぶっきらぼうに言うけど、それが彼なりの優しさなんだってわかっている。
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