桜色の涙
「そうだよ、まだやり直せる。広瀬くんの気持ちぶつけてきなよ」
彼女もニコッと笑って俺の背中を叩いた。
「痛っ」と思わず声が出てしまったけど、おかげでまた笑えた気がする。
俺のそばにはこんなにも頼りになる友達がいるんだ。あとは星那と向き合うだけ。
それからは、さっきの重い話なんて忘れたようにふたりが付き合うまでの話を聞いていた。心は少し軽かった。
◇◆◇
朝起きると1番にスマホを見てしまう。星那からメールがきていないかな。今までのことは夢だったんじゃないのかな。
そんな淡い期待を抱いてスマホを見るけど、毎朝のように落ち込む。
でもそれは春休みまでの話。今日は始業式。そして、1年前に星那と出会った日でもある。
久しぶりに制服を着て軽快な足取りで家を出る。