桜色の涙
どんなに心は暗くても必ず春はやってくる。星那は今この晴れた空を見上げて何を思っているかな。
もう一緒に登校する人はいない。彼女の家まで迎えに行っていたけど、もうその必要もないんだ。
星那は大丈夫かな?事故にあったりしないかな?橋本さんと一緒に来ているかな?
本当に心配だよ。すぐに頭の中が星那で埋まってしまう。
列車を降りて少しゆっくりと歩くと、まだところどころ蕾もあるけど綺麗に花開いた桜の木があった。
桜は1年前と変わっていない。変わったのは隣に星那がいないことだけ。
一緒に見たかったな。
本当は少し期待していたんだ。俺がこの桜の木の下にいたら、もしかしたら星那も来てくれるかもしれない、と。
でもそんなの空想でしかないよね。俺とはもう付き合っていないんだから。