桜色の涙
「渚!」
「……なんだよ」
学校に着くなり名簿を確認した俺は玄関の前でずっと渚が来るのを待っていた。
話しかけると朝に弱いせいか不機嫌そうに返されたけど、嬉しさで胸がいっぱいになる。
「また同じクラスだよ!」
奇跡的なことに、俺と渚はまた同じクラスになれたんだ。
ふたりとも2年2組。きっとクラスは離れるんだと思って諦めていたけど、渚がいるなら安心だよ。
「あっそ」
口では冷たくあしらうけどその頬は少し赤くなっていて、それが照れ隠しだというのは一目瞭然。
顔が緩んだ渚を見ることができて俺まで嬉しくなった。でも、名簿を見るなり渚の顔は曇った。