桜色の涙

「え、告白?」


「どういうことー?」


クラスメートは、俺達が盗み聞きしていたことよりも告白したことの方が気になるらしい。


それもそうだよね。あんな公開告白、俺だって初めて見たし。



「階段なんかで江崎くんに告白するからだよ」


すると、どこからか細い声が聞こえてくる。声のする方には、背中まであるまっすぐな黒髪をなびかせた女の子がいた。


告白していた彼女と親しげに話しているからどうやら友達らしい。



「でもさー、階段くらいしかないじゃん?」


彼女は腕を組んで不満そうにブツブツと言う。


さっきの様子だと気が強いけど笑わせ上手な子なんだろう。


彼女がクラスメートに事情を説明するといっせいに笑いがおこる。その様子を俺と渚は少し呆れ顔で遠目から見ていた。
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