桜色の涙

「俺は広瀬迅。よろしくね」


「園田渚」


渚は相変わらずクールで無口。1年生のときも関わる人は限られていたし、やっぱり人付き合いが苦手らしい。


矢代さんはきっとよろしくなんて言ってくれないだろうけど、クラスメートとして手を差し出す。



「よろしくしないし!」


そう怒りながらも握手を返してくれた矢代さん。そして隣で微笑む小谷さん。


きっかけは最悪だったかもしれないけど女子の友達もできて、いいスタートを切れた。


星那は今頃、新しい友達と上手くやっているかな?ひとりで抱え込んだりしていないかな?



……そんなことあるわけないのに。


星那は俺がいなくても大丈夫なくらい強い心を持っている。俺なんていなくても何も変わらないんだ。
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