桜色の涙

「じゃ、またな」


「うん、後でね」


話し終わったのか戻っていく江崎くん。見送る星那ちゃんは幸せそうな顔をしている。



噂で聞いたことがある。星那ちゃんと同じ中学校からこの高校に来た人はふたりいるって。


中学校が同じってことは小学校はどうだったんだろう?もうひとりは誰なのかな?


そう考えているうちに、星那ちゃんの回りには人だかりができている。



「星那ちゃん、可愛いよねー」


「江崎くんも超かっこいい!」


確かに本当のことだから否定できない。


みんなにとってふたりは高嶺の花で手の届かない存在。呼び捨てで呼んでいる人なんて見たことがない。


きっとお互いだけが呼べる特権みたいなものなんだろう。
< 19 / 374 >

この作品をシェア

pagetop