桜色の涙
「たとえ0からでも絶対に諦めない!」
そうしないと君は、また孤独で暗いひとりだけの世界に入ってしまうよね。だから俺がそこから連れ出してあげる。
星那をひとりにはしたくない。あの寂しそうな顔なんてもう見たくないよ。
「……っ、これ以上そんなこと言わないでよ!」
彼女が珍しく声を荒らげる。その瞳には少しだけ涙が光っているように見えた。
「……私が別れたくて振ったの。だからっ」
「俺は好きだから!ずっと星那のことが好きだから諦めないよ」
言葉を遮って俺の気持ちを伝える。
ねぇ、俺は知っているよ。本当の星那はそんなことを言う人じゃないよね。きっと今も見えない何かに怯えて必死に闘っている。
ひとりで抱え込まないでよ。泣いている顔を見るのが俺にとって1番辛いことなのに。
俺にはそんな星那を助けることさえもできないのかな。