桜色の涙
届かない想い
《 星那side 》
「何それ……」
ほんの数分前、私はあの桜の木の下にいた。
去年の春、入学式の日に迅と初めて出会った桜の木。
『……君は桜みたいだね』
あのときはそんなことを言われて驚いた。彼の言葉になぜだか心が奪われた。
そのときは美紀が一緒だったからゆっくり話せなかったけど、同じクラスだとわかって私達は仲良くなった。
彼との距離が変わったのはきっと夏祭りの日。私と迅と美紀と園田くんの4人で出かけたときのこと。
美紀と園田くんが一緒にお祭りを回ると言い出して、必然的に私と迅は一緒に行動することになった。
会話はぎこちなくて何を話せばいいのかわからなかったけど、時間が経つうちに打ち解けていった。
花火が始まる頃にはすっかり “ 桜仲間 ” から “ 友達 ” という存在に変わっていた。