桜色の涙

こんなにまっすぐに想ってくれる人は初めてで、心があたたかくなったけど同時に痛くも感じた。


気づいたときには私は彼にOKの返事をしていた。


少し期待していたんだ。私の世界を変えてくれるかもしれない。悠大のことを忘れさせてくれるかもしれない、と。


そう、最初はそれだけの気持ちだったの。



でも、私は……。


いつもまっすぐで優しくて、それでも自分を持ち続ける迅のことを。


────いつの間にか好きになっていたんだ。



いつからなのかはわからない。でも、気づいたときには悠大のことなんて忘れて迅のことが好きだった。


だからさっきの彼の言葉には胸が痛んだ。


『何回振られても、好きじゃないって言われても、俺は大好きって言い続けるから……っ』


『それでも、俺じゃダメですか……?』


『俺は好きだから!ずっと星那のことが好きだから諦めないよ』



私だって迅と一緒にいたかった。「私も好き」って伝えたい。そんなことは何回も思った。


でもダメなんだよ。私だって迅がいいけど、彼は私といても幸せにはなれない。


今まで傷つけてきた私が幸せになっていいはずがない。
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