桜色の涙

「まだ悠大くんのことが好きなの?」


「え?」


まさか美紀からそんなことを聞かれるなんて思わなかった。


彼と別れてから、美紀は気をつかってその話題に触れないようにしてくれていたから。



「ううん、もう好きじゃないよ」


悠大のことはいつからか思い出になっていた。今、私が縛られているのは……。



「じゃあどうして広瀬くんと別れたの?本当は好きなんでしょ?」


まだ美紀に迅と別れたことは言っていないはず。


美紀と園田くんが付き合ったことは聞いたけど、他に恋愛関係の話はしていない。ってことは迅から聞いたのかな?


しかも『好きなんでしょ?』って聞いてきたってことは、美紀は私の気持ちに気づいているんだ。


だから、好きなのに別れた私を不思議がっている。
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