桜色の涙
「……好き、だよ」
声が震えた。今まで自分の中だけで隠してきた気持ち。
実際に誰かがいる前で打ち明けるとジワリと胸の奥に溶けていく。
「別れた理由は聞かないから。頑張って、星那」
そう言って肩を叩いてくれた美紀。やっぱり私の1番の親友だよ。
「また明日ね」
「うん、じゃあね!」
美紀の家の前で分かれて自分の家へと進む。といっても家は近くだからたった数秒で着く。
そんな数秒の間に何かが起こるなんて思ってもいなかった私は、家の前にいた人影に気づかなかった。
「星那」
この声。この香り。私の大好きな……。
「迅、どうして……?」