桜色の涙

「星那、好きだよ」


ほら、また。そのまっすぐな言葉に心が掴まれる。でもこの気持ちは隠し続けないといけない。


「ずっと一緒にいて、絶対に好きにさせる気持ちで向き合うから」


悲しくて苦しくて寂しくて。好きで好きで、大好きで。心の中で次々と愛しさが溢れる。



「それでも俺じゃ、ダメですか……」


そんなこと言わないでよ。


私だって迅が好き。一緒にいたいけど。迅はまっすぐすぎて私にはもったいないよ。


自分を幸せにしてくれる人のところに行ってよ。



「私は好きにならないよ」


そんなの嘘に決まっている。大好きだよ。


笑っていたらみんなも笑ってくれる。明るかったら誰も心配しない。だから私は、この気持ちを封印するの。
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