桜色の涙

もう自分が傷つかないように。もう誰かを傷つけないように。


私が素直にならなければ。寂しい気持ちを我慢すれば。ひとりが嫌なんて、迅と一緒にいたいなんて、本音を言わなければ。


全部全部上手くいくんだよ。みんな幸せになれるんだよ。



ねぇ、迅も早く前に進んでよ。そうじゃないと別れた意味がないでしょ?


私が迅を手放せなくなる前に。迅がいない生活に慣れて、ひとりでも過ごせるようにするために。そのために突き放したんだよ?


迅には幸せになってほしいから。これ以上私のせいで縛りたくないから。


私が苦しめた分、他の誰かと幸せな毎日を送ってほしいから。



「俺は星那の笑顔が見たいだけなんだよ」


……どうして迅はそんなに私のために尽くしてくれるの?もっと合う人がいるはずなのに。
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